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フィンランドから鎌倉へ。暮らし、旅、映画にまつわる日々のメモ

48. 桜島と人

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今年のゴールデンウィークは、彼の母方のルーツのある鹿児島に行ってきました。
 
九州は国内でもお気に入りで、旅の候補によくあがる地方です。数年前に友だちと、博多、由布院阿蘇の3地域をめぐる旅をしたり、去年は長崎の五島列島に行きましたが、鹿児島は今回がはじめて。
 
わたしの中で鹿児島といえば、桜島があることと、九州男児のなかでも、とくに鹿児島の男性は男気が強そう、そして女の人は美人が多そう、という勝手な先入観しかもっていなかったものの、鹿児島がとにかくおもしろい!と気に入って何度も訪れている友人の話を聞いて、どんなところなのだろうと、ぼんやり気になっていました。
 
たどりついた鹿児島市は、南国風情のこじんまりとした街。鹿児島好きの友人が送ってくれた岡本仁さんの鹿児島案内本を、観光のおともに、旅がはじまりました。
 
初めましての、鹿児島の親戚たちは、みんなやさしく歓迎してくれて、 同世代のいとこ夫婦たちには「東京生まれの人に初めて会った!」なんて驚かれながら、すごく親切にしてもらいました。
 
彼の母方の親戚はみな、鹿児島が好きで、鹿児島を離れずにずっと暮らしているのだそう。
 
自分の生まれ育った場所がいちばん好きだと思えるのって、当たり前のようで、とてもしあわせなことだと思います。大学のとき、地方から出てきた友だちの何人かは、地元には何にもないから戻りたくないと言っていたし、ずっと東京で育ったわたしは、実家のある世田谷の街並みは大好きだけど、東京はあまりにも大きくて複雑だから、みんなから愛されている故郷というものに、とても憧れをもっていました。
 
やっぱり住んでいる人が良いと思って住んでいる街は、街にやさしさや思いやりが溢れている。鹿児島はなんてことないところで、人のやさしさを感じる場所でした。
 
今回の旅行は、わたしの初めての鹿児島訪問ということもあって、行ってみたかった霧島アートの森のほか、定番コースの桜島や、天文館むじゃきのしろくま(かき氷)、指宿の砂むし温泉、唐船峡のそうめん流しを楽しみ、仙厳園や、知覧の特攻平和会館で、鹿児島の歴史にも触れてきました。
 
今でこそ、東京が中心になっているけれど、 昔は大陸にも近い九州が、日本の玄関口として外国との交流も盛んだっただろうし、仙厳園の資料館にも展示されていた、世界に目を向けていた島津斉彬さんの偉業のおおきさも今回の旅ではじめて知りました。
 
しぶしぶ連れて行かれたわりに、ずしんっと心に残ったのが、知覧の特攻平和会館。 お茶の産地として有名な鹿児島南部にある知覧は、特攻隊の基地があった場所で、広島の原爆ドームや、沖縄のひめゆりの塔のように、戦争の悲惨さを後世に伝える資料館があります。
 
親の世代にくらべると、平和が当たり前になっているわたしたちの世代は、日々の忙しさに追われてしまっているけど、こういう場所に足を運ぶこと、そこで自分で何かを感じることがほんとうに大切だなと思いました。
 
しょうぶ学園や、友だちおすすめのジェラート屋さんなど、2泊では行けなかったところもちらほら。ごはんもおいしくって、小さな鹿児島の街のなかには、びっくりするほどおしゃれなお店もあったり。まだまだ気になる鹿児島です。また、ぜったい行くぞ~!

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47. 中嶋浩子さんの個展

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フィンランドで知り合ったテキスタイルデザイナーの中嶋浩子さんの個展が、代々木八幡のCASE GALLERYで開催されています。土曜日のオープニングにお邪魔してきました。
 
フィンランド、ドイツ、フランスで活動をされ、数理模様といって数式をもとに図案をつくっていく、とってもユニークなことをされている浩子さん。
 
ご本人は、しゃべらせないともったいない!会うたびに「本業、何だったっけ?」と思ってしまうほど話し上手で、ゆかいな気持ちにさせてくれる、人柄がたまらなく魅力的なお姉さんです。
 
以前、こちらのブログでもすこし書いていました。
13. ヨーロッパにいる日本人 - uzocotrip
 
ほんのりバウハウスを感じる、どことなく男性的なかっこいいデザインと渋い色合いがおしゃれで、いろんな可能性が秘めている浩子さんの世界。数理模様のテキスタイルをこれからどんな風に展開していくのか、今後のご活躍とっても楽しみです。
 
フィンランド好きのオーナーさんがフィンランドに縁のあるアーティストにこだわって展示をしているCASE GALLERY。5月3日(水)までやってるので、お近くの方はぜひ足を運んでみてください♪
 
case1823.blogspot.jp

46. 『彼らが本気で編むときは、』

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生田斗真さんが主演。トランスジェンダーの女性とそのパートナーの暮らしを中心に、いろんな家族愛が描かれる人間ドラマ。
 
トランスジェンダーの映画といえば、数年前のグザヴィエ・ドラン監督の『わたしはロランス』が記憶に新しいけれど、邦画ではめずらしい。だから、監督が『かもめ食堂』『めがね』の荻上直子さんと聞いて、そのイメージのギャップにすっかり期待度があがってしまいました。
 

ふつうってなんだろう? 異常ってなに? 親になることって、どういうこと?
この映画を見ながら、ぐるぐると頭の中でいろんな愛のかたちを考えていました。
 
からだの性とこころの性がちがうこと、
同性を好きになること、
異性も同性も好きになること、
 
それは、さわぎたてるほど特別なことでも、
隠さなきゃいけないほど後ろめたいことでもないのに、
日本の社会だとちょっとむずかしい。
 
でも、この映画を見ていると、劇中にでてくる身勝手な母親たちよりもずっと、 リンコさんの方がよっぽどふつうの感覚で、人としてのやさしさと愛に溢れているように感じてきます。
 
心の綺麗さが、こんなにも外見に現れるものなんだ、とハッとさせられるほど、 生田さん演じるリンコさんが美しい。
 
本作のインスピレーションとなっているのは、荻上監督自身のアメリカ生活での体験。それもあって、LGBTの人たちの心情がとってもリアルで、繊細に描かれています。
 
トランスジェンダーを主題にしつつ、
自分の価値観を子どもにも押しつけようとする親や、
母親としての責任からたまに逃避してしまうシングルマザー、
トランスジェンダーの娘を、誰よりも大きな愛でうけとめる母親など、
いろんな「お母さん」が描かれる作品でもあります。
 
スペシャルなようで、どこにでも起こりうること。
きっと見る前よりも、見終わった後、人にやさしくしたいと思える、そんな映画です。

45. 四季を感じる鎌倉の暮らし

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鎌倉に越してきて、東京での暮らしとのいちばんの違いは、
フィンランドの暮らしとも共通するところで、
自然のめぐりを肌で感じることができるということです。
 
春は桜、梅雨はあじさい、夏は海と花火、秋はもみじ、冬は初詣と梅など、
鎌倉にいると、季節の風物詩をごく身近に感じることができます。
 
鎌倉には、見渡せるところに山があり、街中にたくさんの緑や野川もあるので、
季節の花に目がいったり、虫や動物の鳴き声に気がついたり、山の木々の様子の変化をとおくから眺めたり。自然のリズムを気にかけるようになったのも、わたしにとって、おおきな変化でした。
 
駅の近くには、レンバイという呼称で呼ばれる、
近隣の農家さんたちがとれたての鎌倉野菜を売ってる市場があります。

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そこでは季節の旬の野菜がおかれるので、旬の食材を意識してとりこむことができます。色とりどりのニンジンや大根。根菜が多く並ぶ時期もあれば、葉物ばかりのときも。この歳になってはじめて出会う野菜もレンバイにはちらほら。だから、食材選びがとっても楽しい!
 
こどもの頃は学校でひと通り、日本の伝統文化や季節行事にも触れたはずなのに、社会人になってからは、1週間がめまぐるしくて、いつの間にかあまり季節を深く感じることなく過ごしていました。
 
でも、1年のほとんどが冬という北国のフィンランドで暮らしてみて、四季の彩りをはっきりと感じることができる日本は、そういう意味で、ほんとうにめぐまれているんだなと、じわじわと感じます。
 
あまりふだんは気がつかない小さな自然の変化に目を向けてみると、
ちょっと気分も変わってくる。そんなことにありがたみを感じるこの頃です。

44. 鎌倉に暮らしてみて感じたこと①

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鎌倉に引っ越してきて、来月末で1年が経ちます。
「鎌倉の暮らしって、どう?」とたまに聞かれるので、いまのわたしだったら何て答えるかなぁ、とすこし考えてみました。
 
まず、居心地の良さ。
空がひらけていて、山も海もそばにあるからか、
心がおおらかでいられる気がします。
東京にいたときの、ぎすぎすした感じや、すり減っていく感じがなくなって、
環境によって、自分のこころがずいぶんと楽になることを知りました。
 
鎌倉は、ほどよく田舎で、ほどよく街なので、
自然を感じながらも、カフェやお買いものを楽しめるところも好きです。
 
鎌倉=観光地=にぎわってるというイメージをもたれがちだけど、
そのほとんどは、小町通りから鶴岡八幡宮のエリアと、長谷寺周辺のこと。
 
鎌倉駅西口にでると、ローカルな雰囲気の漂う御成通りや、
おしゃれな個人店がぽつぽつと並ぶ由比ヶ浜通りは、町歩きがとっても楽しいし、
海よりの材木座は、昔ながらの風情がのこる、のんびりとした静かな住宅地。
北鎌倉や金沢街道も、またひと味、景色が変わります。
 
有名な小町通りは、とにかく観光客でにぎわっていて歩くのも一苦労という感じですが、逆に言うと、その他のエリアは、もっとずっとおっとりしていて、素朴で、住んでいる人たちが鎌倉らしさを感じるのは、そうゆうところなのではないかなと思います。
 
昔からの風習や古都の文化も大切にされながら、新しい風も吹いている街。
変わらないようで、変わっている。
その塩梅がちょうどいいから、きっとヨソモノのわたしたちにも心地よいのだと思います。