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フィンランドから鎌倉へ。暮らし、旅、映画にまつわる日々のメモ

50.新緑の鎌倉で、心づくしの小さなウェディング

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フィンランドで出会った彼と、春のはじめに入籍をして、
半年近くかけて、準備をすすめてきた小さなお披露目パーティーが終わりました。
 
鎌倉で緑がいちばんきれいな季節に、いつもの自分たちらしく気取らないアットホームなパーティーにと、大好きな人たちばかりを集めた、友人中心の小さなガーデンウェディングをしました。
 
料理、ケーキ、衣装、司会、映像、楽器演奏、ウェルカムボードを友人知人にお願いをして、デザインアイテムはすべて自分たちで手作り。
会場は、風情のあるお屋敷と鎌倉らしい緑ゆたかなお庭のある笹野邸。自由度が高く、こだわりのパーティーにはぴったりのお庭です。
それらをとっても素敵にまとめてくださったのが、鎌倉とも縁があり、フリーランスでご活躍しているウェディングプランナー柳田さん
 
たくさんの人の想いのつまった、ピクニックスタイルの手作りパーティー。
雲ひとつない青空に、緑の爽やかな風の吹くきもちのいいお天気で、
みんなの笑顔があふれる夢のような1日になりました。

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もともと、日本の披露宴のスタイルがちょっと苦手な2人が考えた今回のパーティー。
祝われる会というよりも、親しい友人同士が知り合ったり、才能ある友人たちにスポットを当てるなど、自分たちがゲストだったら、こんなパーティーに参加してみたかったな、という理想をむぎゅっとつめこんだひとときしようと、準備をすすめてきました。
 
◎わたしたちが目指したもの
・外国のホームパーティーみたいに、知らない友人同士も自然と会話が生まれる空間づくり
・新郎新婦が主役というより、2人は友人たちをもてなすホストのような心もち
・結婚式特有の緊張感をできるだけなくして、みんながリラックスして、鎌倉らしい雰囲気を楽しんでもらえるような司会進行とコンテンツ
・ごはんとデザートは自分たちが自信をもっておすすめできる美味しいもの♡
・ゲストになるべく負担をかけず、きもちよく参加してもらえるよう、ご祝儀ではなくハネムーン募金という形の投げ銭制に
 
自分たちらしくしたいと思えば思うほど、想像以上に準備も大変だったけれど、
そんなときに、私たちのこだわりを尊重してくれて、きっとものすごく面倒くさかっただろうことも、心よく手伝ってくれた友人たちがいました。
 
それぞれプロフェッショナルな域ではりきってくれて、
前日までの準備も楽しかったと言ってもらえたり、その気持ちがほんとうに嬉しくて、それがなによりのしあわせでした。
 
あと、当日フタをあけてみたら、若い友人たちに混じって、思いっきり楽しんでくれていた両親たち。こんなとき、自分たちのやりたいようにやらせてくれて、一緒に楽しんでくれる両親で、ほんとうに良かったなと思います。
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”結婚式”という形にとらわれず、今までにない自由な発想を理解してもらうことの難しさ、「自分たちらしさ」を形にしていくことの大変さに、何度もぶつかった半年間でしたが、それ以上に、形になったときの喜びや、達成感はものすごくおおきくて、嬉しい感想もいっぱいいただいて、一大イベントをやりきったな、やってよかったな、と胸いっぱいです。
 
この先も、今回のパーティーをきっかけに、
すてきなご縁が続いていきますように。

49. 日本の美しい村、阿蘇・高森町

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ゴールデンウィークの南九州旅行の後半は、鹿児島からレンタカーで熊本の阿蘇まで。
 
昨年の熊本地震でいちばん被害のおおきかった南阿蘇村のおとなりの高森町にある、ちいさなペンションに2泊しました。
 
森の中にある隠れ家のような佇まいのペンションは、「マティス」という宿の名前のとおり、2階建ての一軒家のなかにマティスの絵があちこちに飾ってありました。
 
宮﨑駿にそっくりのご主人がお料理を作ってくださり、これまたジブリに出てきそうな雰囲気の奥さまが、おいしいコーヒーを入れてくれて、宿泊客との話を楽しんでいるようでした。
 
30年前に京都から移り住んできたというご夫婦がきりもりしているペンションで、決して今風ではないのだけど、旅先でほっと心温まる、すてきな空間でした。
 
なんといっても、朝ごはんにスープと焼きたてのパンがでるのがうれしい。どんなに豪華なホテルのビュッフェよりも、ていねいに朝を迎えた気分になれるのです。
 
阿蘇の山に囲まれた、美しい静かな町は、震災から1年を迎えて、今日もまた穏やかな時間が流れていました。
 
びっくりしたのは、阿蘇にも外国人観光客が意外と多いく、
とくにきれいな日本語を話す欧米人を3、4人見かけたこと。
東京や京都にいる外国人よりも、日本のことをよく知っていたり、深い興味のある旅人が多いのかもしれません。
 
昨年訪れた長崎の小値賀島と同じく、
”日本の最も美しい村”に選ばれている高森町。
お宿も飲み屋さんも少ない、ほんのちいさな村だけど、
都会からくるとほっと癒される森や緑の匂いや、のどかな田園風景がみられます。
 
あの素朴な景色と、ペンション「マティス」が、ずっと変わらずに続いていくといいなと思いました。

48. 桜島と人

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今年のゴールデンウィークは、彼の母方のルーツのある鹿児島に行ってきました。
 
九州は国内でもお気に入りで、旅の候補によくあがる地方です。数年前に友だちと、博多、由布院阿蘇の3地域をめぐる旅をしたり、去年は長崎の五島列島に行きましたが、鹿児島は今回がはじめて。
 
わたしの中で鹿児島といえば、桜島があることと、九州男児のなかでも、とくに鹿児島の男性は男気が強そう、そして女の人は美人が多そう、という勝手な先入観しかもっていなかったものの、鹿児島がとにかくおもしろい!と気に入って何度も訪れている友人の話を聞いて、どんなところなのだろうと、ぼんやり気になっていました。
 
たどりついた鹿児島市は、南国風情のこじんまりとした街。鹿児島好きの友人が送ってくれた岡本仁さんの鹿児島案内本を、観光のおともに、旅がはじまりました。
 
初めましての、鹿児島の親戚たちは、みんなやさしく歓迎してくれて、 同世代のいとこ夫婦たちには「東京生まれの人に初めて会った!」なんて驚かれながら、すごく親切にしてもらいました。
 
彼の母方の親戚はみな、鹿児島が好きで、鹿児島を離れずにずっと暮らしているのだそう。
 
自分の生まれ育った場所がいちばん好きだと思えるのって、当たり前のようで、とてもしあわせなことだと思います。大学のとき、地方から出てきた友だちの何人かは、地元には何にもないから戻りたくないと言っていたし、ずっと東京で育ったわたしは、実家のある世田谷の街並みは大好きだけど、東京はあまりにも大きくて複雑だから、みんなから愛されている故郷というものに、とても憧れをもっていました。
 
やっぱり住んでいる人が良いと思って住んでいる街は、街にやさしさや思いやりが溢れている。鹿児島はなんてことないところで、人のやさしさを感じる場所でした。
 
今回の旅行は、わたしの初めての鹿児島訪問ということもあって、行ってみたかった霧島アートの森のほか、定番コースの桜島や、天文館むじゃきのしろくま(かき氷)、指宿の砂むし温泉、唐船峡のそうめん流しを楽しみ、仙厳園や、知覧の特攻平和会館で、鹿児島の歴史にも触れてきました。
 
今でこそ、東京が中心になっているけれど、 昔は大陸にも近い九州が、日本の玄関口として外国との交流も盛んだっただろうし、仙厳園の資料館にも展示されていた、世界に目を向けていた島津斉彬さんの偉業のおおきさも今回の旅ではじめて知りました。
 
しぶしぶ連れて行かれたわりに、ずしんっと心に残ったのが、知覧の特攻平和会館。 お茶の産地として有名な鹿児島南部にある知覧は、特攻隊の基地があった場所で、広島の原爆ドームや、沖縄のひめゆりの塔のように、戦争の悲惨さを後世に伝える資料館があります。
 
親の世代にくらべると、平和が当たり前になっているわたしたちの世代は、日々の忙しさに追われてしまっているけど、こういう場所に足を運ぶこと、そこで自分で何かを感じることがほんとうに大切だなと思いました。
 
しょうぶ学園や、友だちおすすめのジェラート屋さんなど、2泊では行けなかったところもちらほら。ごはんもおいしくって、小さな鹿児島の街のなかには、びっくりするほどおしゃれなお店もあったり。まだまだ気になる鹿児島です。また、ぜったい行くぞ~!

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47. 中嶋浩子さんの個展

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フィンランドで知り合ったテキスタイルデザイナーの中嶋浩子さんの個展が、代々木八幡のCASE GALLERYで開催されています。土曜日のオープニングにお邪魔してきました。
 
フィンランド、ドイツ、フランスで活動をされ、数理模様といって数式をもとに図案をつくっていく、とってもユニークなことをされている浩子さん。
 
ご本人は、しゃべらせないともったいない!会うたびに「本業、何だったっけ?」と思ってしまうほど話し上手で、ゆかいな気持ちにさせてくれる、人柄がたまらなく魅力的なお姉さんです。
 
以前、こちらのブログでもすこし書いていました。
13. ヨーロッパにいる日本人 - uzocotrip
 
ほんのりバウハウスを感じる、どことなく男性的なかっこいいデザインと渋い色合いがおしゃれで、いろんな可能性が秘めている浩子さんの世界。数理模様のテキスタイルをこれからどんな風に展開していくのか、今後のご活躍とっても楽しみです。
 
フィンランド好きのオーナーさんがフィンランドに縁のあるアーティストにこだわって展示をしているCASE GALLERY。5月3日(水)までやってるので、お近くの方はぜひ足を運んでみてください♪
 
case1823.blogspot.jp

46. 『彼らが本気で編むときは、』

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生田斗真さんが主演。トランスジェンダーの女性とそのパートナーの暮らしを中心に、いろんな家族愛が描かれる人間ドラマ。
 
トランスジェンダーの映画といえば、数年前のグザヴィエ・ドラン監督の『わたしはロランス』が記憶に新しいけれど、邦画ではめずらしい。だから、監督が『かもめ食堂』『めがね』の荻上直子さんと聞いて、そのイメージのギャップにすっかり期待度があがってしまいました。
 

ふつうってなんだろう? 異常ってなに? 親になることって、どういうこと?
この映画を見ながら、ぐるぐると頭の中でいろんな愛のかたちを考えていました。
 
からだの性とこころの性がちがうこと、
同性を好きになること、
異性も同性も好きになること、
 
それは、さわぎたてるほど特別なことでも、
隠さなきゃいけないほど後ろめたいことでもないのに、
日本の社会だとちょっとむずかしい。
 
でも、この映画を見ていると、劇中にでてくる身勝手な母親たちよりもずっと、 リンコさんの方がよっぽどふつうの感覚で、人としてのやさしさと愛に溢れているように感じてきます。
 
心の綺麗さが、こんなにも外見に現れるものなんだ、とハッとさせられるほど、 生田さん演じるリンコさんが美しい。
 
本作のインスピレーションとなっているのは、荻上監督自身のアメリカ生活での体験。それもあって、LGBTの人たちの心情がとってもリアルで、繊細に描かれています。
 
トランスジェンダーを主題にしつつ、
自分の価値観を子どもにも押しつけようとする親や、
母親としての責任からたまに逃避してしまうシングルマザー、
トランスジェンダーの娘を、誰よりも大きな愛でうけとめる母親など、
いろんな「お母さん」が描かれる作品でもあります。
 
スペシャルなようで、どこにでも起こりうること。
きっと見る前よりも、見終わった後、人にやさしくしたいと思える、そんな映画です。