69. 『真実』キノシネマ横浜みなとみらい
『万引き家族』で2018年カンヌ国際映画祭のグランプリに輝いた是枝裕和監督、初の海外進出作品。
個人的に、超夢の豪華共演だった本作!
大好きな俳優を、大好きな監督が撮る。しかも、馴染みのある街を舞台に。
それだけでも、わたしにとって、贅沢な映画でした。
是枝監督が、フランス人の俳優を起用して、フランスを舞台の映画を撮ったら、どんな作品にしあがるんだろう。しかも、フランス映画界を代表する大女優のカトリーヌ・ドヌーヴと、同じくフランスの実力派女優としてキャリアの長いジュリエット・ビノシュが初共演!そこに、『ビフォア・サンセット』シリーズのイーサン・ホークも出るなんて。これは何としてでも、映画館で見よう、と決めていました。
物語の舞台はフランスのパリ。大女優ファビアンヌ(カトリーヌ・ドヌーブ)の家に、ニューヨークから娘家族が訪れます。『真実』というタイトルの、ファビアンヌの自伝書の出版を祝いにやって来たのです。しかし、彼女が本に書いたのは、“真実”とはかけ離れたものでした…。母親に辛辣な眼差しを向ける娘のリュミール(ジュリエット・ビノシュ)と、役者の夫・ハンク(イーサン・ホーク)、愛娘シャルロット(クレモンティーヌ・グルニエ)。家族に隠された、本当の“真実”とはーー?
わぁ、さすがだなー、という感じでした。
大女優を演じるカトリーヌ・ドヌーヴの貫禄はさすがだったし(あの豹柄のコート似合いすぎ!)、母親との確執に苦悩するジュリエット・ビノシュも、軽やかなユーモアを交えながら、母娘のやりとりを見守るイーサン・ホークも、それぞれの俳優の個性がとてもすてきにいかされていて、ファンとしては「ごちそうさま」と言いたいくらい。
季節は秋の終わり。母と娘の確執という、重たい雰囲気になりがちなテーマ(しかもフランス映画)にもかかわらず、ほのかな幸福感と爽やかな余韻の残る映画にしあがっているのは、是枝作品の持ち味でもあるし、イーサン・ホークという俳優の存在が大きいように感じました。
黄色や橙色に染まるパリの秋。
ひんやりを頬をさす、冷たい朝の空気。
映画を見ながら、秋のパリに行った気分になれたのが、思わぬ幸福でした♩