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フィンランドから鎌倉へ。暮らし、旅、映画にまつわる日々のメモ

62. この夏、カナダに恋をした。

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今年の6月に、1週間カナダに行ってきました。
あっという間に半年近くがたちますが、自分にとってものすごく色濃い時間だったので、忘れないように書き残しておきます。
 
あの心地よさは何だったんだろう。
とにかく、カナダが大好きになって帰ってきたのです。
 
語学留学をしている夫の妹をたずねて、初夏のバンクーバーへ。
ついでに、ずっと行ってみたかったフランス語圏のモントリオールにも、足を伸ばしてきました。
 
夫の妹と、夫なしでの姉妹旅行。そんなことが気軽にできる間柄なのがうれしい。
 
私にとって、今回は2度目のカナダ。
50歳を過ぎてからカナダを気に入って移住して、ずいぶん年の離れたボーイフレンドと暮らしていた大叔母さんを訪ねて来たのが高校生のころだったので、15年ぶりくらいのバンクーバーでした。
 
モントリオール3泊、バンクーバー4泊の旅。
そのなかで、いちばんの発見は、カナダ人のオーガニック思考の高さと、豊かな自然と町のほどよい距離感。そして、自然体で生きていて、とっても気持ちのいい人々でした。
 

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”北米のパリ”とも呼ばれるモントリオールは、ヨーロッパの街並みと少し似ていて、オランダを思わせるレンガの建物や、フランスのマレ地区のような、アートギャラリーやカフェが並ぶ界隈もあり、とっても好きなタイプの町でした。
 

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街のあちらこちらに市民参加型のコミュニティ菜園が。

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西海岸のバンクーバーは、ダウンタウン超高層ビルと、ノースバンクーバーの山景色が、セットで近距離で見られるというのが、すごく新鮮な体験でした。雄大な自然のなかに、高層ビルの島がぽつんと浮かんでいるようで、あまり見慣れない風景でした。
 
でも、ダウンタウンを離れると、バンクーバーの人たちの暮らしが感じられるローカルな界隈があちこちに。緑豊かな公園も多く、きっとバンクーバーに住んでいる人たちは、都心の高層ビルに通勤している人たちも、自然とともに生きているという実感があるんだろうな。

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食いしん坊のわたしにって、旅行の前に唯一気がかりだったのがカナダの食文化。
多民族国家といっても、カナダ料理のイメージがまったくなく、食べものにはあまり期待していませんでした。
 
ところが、地産地消の文化や環境にやさしい漁法が浸透していたり、オーガニックのスーパーやマルシェが充実していたり、フレッシュでおいしい材料を使ったローカルフードがたくさん食べられたのです。
 
今風のおしゃれなレストランでも、必ずといっていいほどベジタリアンメニューがあり、グルテンフリーのマークもしっかり記載されていたのも印象的。しかも、お肉を使った料理に負けないボリュームとおなかの満足感なのでした。
 
バンクーバーのいちおしは、地元の人に教えてもらった「GRUB」。こじんまりしたアットホームな雰囲気で、料理もおいしくて、すてきなお店でした。

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そして、もうひとつ、今回のカナダの旅行が特別なものになったのは、
Airbnbのステイをとおして、カナダのすてきなご夫婦と知り合えたこと。
 
ちょっとしたハプニングがあり、バンクーバーに着いてから宿を探すことになり、泣きそうになりながら見つけたのが、彼らの家でした。
 
当日リクエストを送るという緊急ぶりでも、心よく受け入れをしてくれて、旦那さん手づくりの夜ごはんまでご一緒させてもらいました。たまたま、奥さんが子ども時代に日本に住んでいたことがあり、ふたりとも親日家だったのです。おふたりとも旅やアートが好きという共通点があったのもうれしい偶然でした。
 
こんな風に、旅先での思わぬ出会いはとってもうれしい。大切にしたいご縁です。


 
大叔母さんが気に入って住み着いた場所。
懐が広くて、やさしい風が吹く、気持ちのいい街。
 
この街だったら、私も暮らせるような気がしました。

61. 鵠沼の小さな街の映画館、シネコヤ

人生でたった1度だけ、ひとり暮らしをしたとき、
部屋の広さよりも、駅の近さよりも、何よりもわたしが重視したのは、
「大好きな映画館のある街」でした。
 
昔から小さな映画館がもつ独特の雰囲気や、個性が好きで、
映画はできるだけ映画館で見るようにしています。
 
鎌倉に住んで3年目。
住めば住むほど、この街ののんびりした空気や居心地のよさ、
この街にいる人たちが好きになっていく一方で、
ときどき、無性に東京が恋しくなるのは
ずいぶん通ったお気に入りのミニシアターたちが遠くなってしまったから。
 
行けない距離ではなくても、片道1時間半と思うと、
近くのシネコンで見られる映画や、レンタルでもいいかなと思ってしまう
めんどくさかり屋のわたしです。
 
でも、そんなわたしのドンピシャな映画館が、
湘南エリアにもあったのです!!!
鵠沼海岸駅から徒歩3分のところに、昨年春オープンした
映画と本とパンのお店「シネコヤ」。
 
鵠沼海岸に新しいミニシアターができたという噂は
ずっと前に聞いて、上映作品もちょくちょく調べていたものの、
なかなか都合があわず、ようやく行くことができました。
 
映画館とは言わずに、”映画と本とパンのお店”としているとおり、
1階はカフェスペースになっていて、そのときどきでコラボしているお店のパンを販売、2階にあがると、ソファーでゆったりと映画が見られる空間に。
さらに、1階、2階ともに、壁一面が本棚になっていて、小説や絵本、映画の本などがずらりと並んでいて、自由に読めるようになっているのです。
 
渋谷のアップリンクや、逗子のシネマアミーゴのような、自由なスタイルの映画空間でありながら、待ち時間にはおともの本とおいしいパンをたのしめて、しかも、ふかふかのソファー!個人的にはうれしいことづくしでした。
 
チケットの番号順にひとりずつ、2階に案内されて席を選べるシステムなので、
スタッフの方ともお話ができて、今どきめずらしいくらいにアットホームな雰囲気もすてき。
 
作品のラインナップも、下高井戸シネマシネスイッチ銀座のような作品が中心で、湘南のお気に入りスポット、かなり上の方に入りそうです◎
 
いいとこ、見ーつけた。

60. 『グレイテスト・ショーマン』

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もうずいぶん前になりますが、久しぶりにIMAXの映画館に2回見に行くほど、大好きだった『グレイテスト・ショーマン』(その後、飛行機で3回目も見ました)。
観てからしばらく経ちますが、サントラを聴くと、あの感動とワクワクがすぐに蘇ってきます。
 
日本でも大ヒットしたミュージカル映画ラ・ラ・ランド』の製作チームが手がけた、ヒュー・ジャックマンを主演に迎えた本作。アメリカのショービジネスの原点を生み出した実在の人物、P.T.バーナムをモデルにした感動のエンターテイメント!
 
 
舞台は19世紀半ばのアメリカ。ヒュー・ジャックマン演じる主人公バーナムと、ヒロイン役のミシェル・ウィリアムズ演じるトリニティの子ども時代から。貧しい仕立屋の息子だったバーナムと、裕福な家庭の一人娘のトリニティは、まったく違う世界に生きながらもバーナムの豊かな想像力とユーモアによってふたりは心を通わせていた。やがて大人になって結婚して、ふたりの娘たちと小さな古アパートに暮らすように。
 
ある日バーナムの会社が倒産し、仕事がなくなってしまったことから、子どもの頃の夢だったイマジネーションを使って人を楽しませたいという想いがバーナムの中で蘇り、大きな賭けに出る。バーナムが目をつけたのは、ひげ女や小人、巨人などの、スペシャルな外見をもつマイノリティの人たちだった。そして、挑戦と失敗を繰り返しながら、ショーを成功させていくのだが…。
 
 
始まりから終わりまで、ワクワクが止まらない、あっという間の90分!
感動も、笑顔と、涙と、とにかく胸いっぱいのフィナーレで、この映画自体が素晴らしいショーになっているし、こういう映画をみると、ああ、やっぱり映画があってよかったな、映画は映画館で見るものだなぁ、とつくづく思います。
 
この映画のみどころは、壮大でロマンチックな歌とダンスシーン、そしてヒュー・ジャックマン演じる主人公のP.T.バーナム。
 
貧しい生まれの主人公バーナムが挑戦と失敗を重ねながらも夢に向かってすすんでいくという、わりとシンプルなサクセスストーリーではあるものの、バーナムは単なる心優しいいい人というわけではありません。
 
銀行に偽って海底に沈んでいる船を担保に大金を借りちゃったりします。フリークスと呼ばれる人たちに目をつけたのも、新しくてワクワクすることをしたいという気持ちからで、都合がわるいときには平気で彼らを隠そうともする。ショーが成功するようになると、もっと欲が出てしまって、自分にとっていちばん大切な存在を一瞬見失ってしまいます。
 
そんな調子なので、ときどき失敗をして落ち込んだりもするんだけど、それでもそんなバーナムのことを好きな人たちが集まってくる。うんざりされたり、いやなやつで終わらないのはやっぱり彼自身と、彼のつくりだす世界にものすごく魅力があったからだと思うのです。
 
壮大なエンターテイメントに胸が高なりながら、バーナムに心惹かれた作品でした。
 
「Celebration of Humanity(人類の祝祭)」
すべての人を同じように扱ったバーナムのサーカスへの賞賛の言葉が印象的。
 
ひとりひとり、みんなちがって、それでいい。 
もっともっと、やさしい社会になるといいなぁ。

59. 『寝ても覚めても』

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今年のカンヌ国際映画祭で、みごとパルムドールに輝いた是枝裕和監督の『万引き家族』とともに、日本からコンペティション部門に正式招待されたもうひとつの作品、濱口亮介監督の『寝ても覚めても』の試写を見に行ってきました。
 
 
原作は、柴崎友香の同名小説。舞台の始まりは大阪。あらすじは、主人公の朝子は、の写真展で出会った青年・麦と運命的な恋に落ちる。親友からは麦は「好きになったらいけないタイプの男」だと忠告されながらも、すっかり麦に夢中の朝子。風来坊で、気の向くままどこかへ行ってしまう麦は、ほどなくして朝子の前から突然姿を消してしまう。数年後、東京の喫茶店で働く朝子の前に、麦と瓜二つの会社員・亮平が現れる。思わず亮平を避ける朝子だが、そのそっけない態度が逆に気を引いてしまい、朝子に惹かれていく亮平。そして、朝子も亮平を好きになっていくのだが…。
 
 
人は、どうして人のことを好きになるんだろう?
どうして、他のだれかではなくて、その人じゃないといけないんだろう?
 
最後まで、ストーリーの結末がまったく読めなくて、
朝子の心理を中心に動いていく物語と一緒に、壮大な旅をした気分になりました。
 
正しさというものさしをいったん横においておいて、
濱口監督の世界観にどっぷり浸ったら、もっと続きを観ていたいような淡く心地よいエンディングでした。
 
 
主役を演じるのは、本作が初めての本格演技という新人女優の唐田えりかさん。まだ色んな作品に出ていないので、女優さんのイメージが固まっていない分、演技もすごく新鮮で、朝子という女性の役どころを先入観をもたずに見ることができました。この物語では、それがすごくよかった。
 
黒目がちでとてもかわいらしい女優さんですが、ものすごく個性があったり特別な美人というわけでもなく、ふつうに街中にいそうな女の子なのがまた観客との距離を近づけるように感じました。
 
はじめはふんわりしていて、どこかつかみどころがなくて、放おっておけない感じの女の子だったのが、映画の流れとともに、だんだん意思がはっきりしてくるんです。そこも映画の不思議な力。
 
一人二役を演じた東出昌大くんの演技の幅にも驚かされました。優等生タイプ、誠実そうな好青年というイメージがありましたが、本作をとおして見せてくれる色々な表情や演技が素晴らしかった!
 
 
そしてもうひとつ、8年間という長い時の流れが、しっかり時代とともに描かれていること。ふたりのラブストーリーを軸に、日常の風景が流れていくなかで、ときおり社会的な出来事が背景に描かれていたのも印象的でした。
 
例えば、ラジオで秋葉原の事件ことに触れられていたり、震災の描写、東北のエピソードが盛り込まれていたりしますが、10年前に発売された原作を、今回の映画化にあたって脚色したそうです。そんなところにも、濱口監督のこだわりが。
 
 
大人になると、毎日が忙しくて、
恋愛をした昔のことをとっくに忘れてしまった人も多そうだけれど、
この映画を見ている間だけは、なにかをジャッジしようせず、
ただただ人を好きになった、あの気持ちを思い出して、見てみてください。
 
映画『寝ても覚めても』は、9月1日(土) 全国公開です。 

58. 憧れの映画の舞台、キューバを肌で感じてみて

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映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』『ダンシング・ハバナ』を見てからずっと憧れの国だった念願のキューバと、南米好きの夫・ぽんちゃんがずっと行きたがっていた絶景グランセノーテを見に、メキシコのカンクンに行ってきました。
 
夜のハバナで聴いたキューバ音楽、遠出したトリニダーのかわいらしい町並み、キューバ大自然で馬乗り、搾りたてのさとうきびジュース、滝で泳いだこと、個性溢れるカーサ。キューバはこれまでにわたしが行ったどこの国とも似ていない、独特な空気と懐かしい素朴な人間らしさが感じられる心惹かれる国でした。
 

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メキシコのカンクンでは、カリブ海の陽気な気候に誘われて、お日さまをいっぱい浴びて、シュノーケルやダイビングを満喫。マヤ文明も、メキシコのジャングルも、カメと一緒に泳いだことも、わたしにとって初体験だらけの道中でずっとわくわくしていたけど、旅のいちばんの思い出はキューバで出会った、キューバの人たちでした。
 
酔っぱらいのおじいさんに「アミーゴ」と水を差し出す売店のお兄さんがいたり、バスに靴を忘れたぽんちゃんのために、宿のおじさんがあちこちに電話をかけてくれたり、田舎町で安いレストランを探していたら知り合いのお店まで案内してくれて地元プライスにしてくれるよう頼んでくれる人がいたり(キューバは観光客とキューバ人が使う通貨が異なり、同じものを買ってもずいぶん物価が違うんです)、客引きの人たちでさえ不快な態度をとられることがなく、ごくあたり前のように素朴な助け合いが根づいている国なんだなぁと感じました。
 
すこしスペイン語を話せるぽんちゃんは、今まで旅したどこのスペイン語圏の国よりも、キューバの人たちがスペイン語を話せることを喜んでくれたと感動していました。
 
とはいえラテンの国、「ポリスマン」と言ってタクシーの助手席に途中で相乗りしてきた人、たしかにポリスマンの格好だけど明らかに運転手の友だち風だし、ポリスマンなのにシートベルトしてないよ!と突っ込みたくなることも。笑
長距離バスでは、こんな場所にバス停あるのか?と思うような、ごく一軒家の前で停まったかと思えば、運転手さん、バスを降りてお友達とおしゃべりして、お昼ごはんをゲットしていました。笑
バスの運転手さんの気ままさは、メキシコでもよくある話のようです。
 
こんなのどかな日常風景を見ていると、何一つ不自由なく機械的にパーフェクトに物ごとがすすむことだけが、良いわけじゃないなとしみじみ感じます。つっこみどころもあって、わしゃわしゃしながら助け合いやっていく方がよっぽど人間らしくて、気持ちいい。
 
そんなことを、改めて感じさせてくれたキューバ&メキシコの旅でした。