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フィンランドから鎌倉へ。暮らし、旅、映画にまつわる日々のメモ

6. 世界でいちばん好きな美術館

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青い空。スウェーデンに面した、遠くまで広がる海。
どっしりと根をはる、緑の大地。
 
そんな、自然に囲まれたところに、海沿いの美術館があります。
デンマークコペンハーゲン近郊にある、ルイジアナ現代美術館です。
 
萩原健太郎さんが「北欧デザインをめぐる旅」という本のなかで、
世界でいちばん好きな美術館と賞していたルイジアナ現代美術館。
美術館をつくった人たちが、土地探しからものすごくこだわったというエピソードがとても印象的で、せっかく北欧まで足をのばすなら、ここには絶対行きたいと決めていました。

 
美術館自体は、深い緑の蔦がおいしげった、こじんまりとした建物。
レンガを白塗りした壁に、ほどよい距離感で、1枚1枚、ていねいに絵が飾られています。わたしが訪れたときは、ピカソ、ミロ、クレー、ドビュッフェなど、フランスの近現代絵画のコレクションが展示されていました。

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細いガラス張りの廊下と、そこから見える外の景色。つきあたりには、ジャコメッティの彫刻。木の板でできた天井も、窓から見える自然の景色と調和していて、美術館にいながら、公園のなかをお散歩しているような感覚です。

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建物をでると、海に向かって、なだらかな傾斜になっていて
広い敷地が広がっています。
 
寝そべって、海の写真をとっては、くつろいでいるおじさん。
仲良く階段にすわって、コーヒーを飲むおじいさんとおばあさん。
芝生で楽しそうにおしゃべりする高校生たち。
日向ぼっこしながら、読書をするお姉さん。

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思い思いに、鑑賞後の時間を過ごすのをみて、
ああ、いつまでもこの景色を眺めていたいなと、じんわり感じました。
 
美術館で作品を楽しんで、軽食をとって、余韻に浸るその後のひとときまで、
それぞれのシーンにあわせて絶妙な空間が設計されていることに、たまらなく感激していたのです。
 
いつかまた、太陽のきもちいい日に、あの心地よさをもう一度味わいたい。
忘れられない美術館体験でした。