uzocotrip

フィンランドから鎌倉へ。暮らし、旅、映画にまつわる日々のメモ

55. 『三度目の殺人』TOHOシネマズ上大岡

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先週末に公開したばかりの是枝裕和監督の最新作を、さっそく観に行ってきました。
ふだんはあまりサスペンスを見ないわたしも、大好きな是枝さんの作品は、ただの推理ドラマに終わらない、もっと深い何かが描かれているはず!と期待を込めて、鑑賞。
 
本作も、俳優陣に、脚本に、とっても素晴らしかったです。
ヴェネチア映画祭では賞をとりませんでしたが、見る人に考える余地をのこして、まるで観客を試しているかのような作品、個人的にはすごく好きでした。
 
あらすじは、2度目の強盗殺人罪で死刑勧告を受けている容疑者の三隅(役所広司)をどうにか減刑させようと、敏腕弁護士の重盛(福山雅治)が容疑者との面会を重ね、裁判の戦略をねっていく法廷サスペンス。
 
裁判は、真実を明らかにする場ではなく、利害を調整する場として、あくまでも戦略重視で仕事をすすめてきた重盛だが、犯行の動機を探っていくうちに、会うたびに言うことや態度をころころと変える三住に、次第に翻弄されていく。
 
三隅は誰かを守っているのか、誰かを裁こうとしているのか、本当は罪を犯していないのか、あるいは、空っぽの”器”なのかーーー。
 
 
役所広司のド迫力、圧巻!!!
 
役所さん演じる三隅を見ているうちに、どの三隅も”真実”のように思えてきてしまって、重盛と同じように、わたしもどつぼにはまってしまいました。
 
「見て見ぬふりをしたくないから」
「ここ(法廷)では、だれも本当のことを言わない」
 
心に刺さる言葉がぽつぽつ。
きっとこれは法廷にかぎったことではなくて、
わたしたちの日常が問いかけられているようで、
見終わってからも映画の余韻で頭がぐるぐるしていました。