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フィンランドから鎌倉へ。暮らし、旅、映画にまつわる日々のメモ

21. ボトルミュージックの出稼ぎのおじさん

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はじめてヘルシンキを案内してもらって、街を歩いていたとき、
ストックマンのならびの通りで、鉄琴に似た、なつかしくって、とてもここちのいいメロディが聞こえてきました。
 
その音がどんどん近くなっていくと、
そこには、水のはいったガラス瓶でつくった楽器を奏でている
ピエロのおじさんがいました。

 
ずっと聞いていられるようなやさしい音色と、
ピエロのおじさんの、すこしもの悲しそうな表情が離れがたく、
しばらくじっと見ていました。
 
ロシア人で、週末だけ出稼ぎにきているのだと、
彼が教えてくれました。ヘルシンキでは有名な人なんだそうです。
 
でも、たしかに、まずあの楽器がインパクト大!
演奏もとっても上手なので、街中で楽器をひいている人たちのなかでも
とくに心惹かれるものがありました。
ピエロのおじさんはいったい何者なんだろうと、すっかり気になって仕方がありませんでした。
 
すわっていた楽器のケースにはwebサイトのURLが…!
http://bottles4music.com
 
あとでわかったのは、ピエロのおじさんの正体は、Fedor Grigorevさんという人でサンクトペテルブルク出身だということ。そんなにおじさんでもなく、いつもピエロの格好をしてるわけじゃないということも。
 
それにしてもすごい!
週末のストックマン横、わたしのヘルシンキお気に入りスポットです。

20. バレンタインは友だちデー

日本では、好きな人にチョコレートをプレゼントする日。
というなんともしおらしい(ちょっとめんどくさい)日でもありますが、
じつは、女の子から男の子に贈るという習慣は、日本と韓国くらいらしい。  
ヨーロッパなどの海外では、男の子から女の子にお花をプレゼントするという習慣があります♪
さらに、フィンランドでは、2/14は、Ystävänpäivä(ユスタヴァンパイヴァ)といって、「友だちの日」なのです。
 

男の子も女の子も関係なく、仲の良い友だちにカードやお花をおくったり、カフェに行ったりします。
日本のバレンタインほどの盛り上がりはなく、ごく普通の1日ですが、それでも2月になると、スーパーやお店には、Ystävänpäivä用のお花や、ケーキが並びます。
 
友だちにたっぷりの愛をこめて!赤やピンクのハートのモチーフがずらり。
お菓子屋さんでも、チョコレートもケーキもピンク色のものばかりで、ベリー好きのフィンランド人らしくもあり、バレンタイン=チョコレート=茶色のイメージのある日本人のわたしとしては、とても新鮮な光景でした。
 
フィンランドの男女平等の考え方が、こういうところにもつながってるんですね。

19. お隣の国はロシア

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きっと生きているうちに、行くことなんてないだろうな、と思っていたロシア。そんな、まさかのロシアはサンクトペテルブルグに、ヘルシンキから船で行ってきました。

 
というのも、そもそも、日本人はビザがないと観光目的でも入国ができないので、以前、バレエ好きでロシアに留学していた友人がいたときも、どうやらビザの手続きが大変そうだといって、遊びにいくのをあきらめたことがありました。
 
ところが、ヘルシンキは隣の国ということもあって、St.PeterLineというフェリーで行くと、3日間まではビザが不要という制度ができたので、おかげで、とっても簡単にロシア(サンクトペテルブルグ)に行けるようになったのです。 
ヨーロッパの国々にくらべて、圧倒的に情報量の少ないロシア。日本の雑誌などでも、ロシアはほとんど見かけたことがありません。だけど逆に、先入観がないのをいいことに、まっさらなイメージで見てくることができました。
 
サンクトペテルブルクはとても華やかな街です。世界三大美術館ともいわれる、エルミタージュ宮殿のならびの川沿いのとおりには、きれいなお屋敷がならんでいて、かつて、この街中に、貴族が住んでいたのではないかと思えるほどでした。あるいは、舞踏会のような、幻想的な雰囲気も。
 
エルミタージュ美術館は、いままでに見た、どこの美術館や宮殿よりもゴージャスで、相当なお金をかけて作られたであろう、部屋中に金箔が使われていたり、たとえようのない、桁外れに金ぴかな世界でした。
 
うれしかったことは、友だちに教えてもらったロシア美術館が素晴らしかったこと。いままでほとんど知らなかった、ロシアの絵画をみることができたことは、ほんとうに貴重な機会でした。なかでも、イヴァン・アイヴァゾフスキー(Ivan AIVAZOVSKY)という画家の作品は忘れられません。
 
ボルシチや、ピロシキ、本場のビーフストロガノフもおいしくいただき、
未知の国ロシアとの、こころの距離がちょっと近づく旅でした。

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18. ヘルシンキから日帰りスノボ

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ヘルシンキからバスで40分くらいエスポー方面に行ったところに、
セレナという小さなスキー場があります。
 
せっかく冬のフィンランドにいるのと、スノボ好きの彼が(鬼の)特訓してくれるというので、いつもは運動不足のわたしも、人生初のウィンタースポーツにチャレンジしてみることに。

 
セレナはヘルシンキから行きやすいこともあって、友だち同士や家族連れまで、幅広い年代でにぎわっています。バス代が片道4€の距離で、日帰りスノボを楽しめるのも雪国ならでは。この時期は、みんな似たようなことを考えるのか、毎週バスで見かける家族や若者グループもいました。
 
さすが雪国のフィンランド
小学生くらいでも、とっても上手に滑っている子たちがたくさんいます。
上級エリアでは、ジャンプして宙で一回転して滑っている人もいて、なにかのショーをみている気分でした。
 
なかには、3歳児くらいの、赤ちゃんとそう見た目が変わらない子たちもいました。何度も転がっては、ママに引っ張られて再チャレンジ。
あんなに小さい頃から、自分の足で滑っている姿をみて、すごいなあと感心する一方で、なんでも甘やかせずに一人でやらせるという、フィンランド人の親のたくましさも伝わってきました。
 
3歳児といっしょに、半べそで雪山をごろごろ転がっていたわたし。
 
でも、いくつになっても、できないことが少しできるようになる瞬間って
うれしいものだなとあらためて感じる日々でした。

17. ベルリンでひとりで考えたこと

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2015年11月。
ベルリンの街をひとりで歩いていたとき、
こころのなかに、煮え切らないもやもやのようなものが
いっぱい湧いてきました。
 
むきだしの街、ベルリン。
街のあちこちには落書きがあるし、
廃墟の一歩手前のような建物に、ギャラリーやお店が入っていたり。
個性的なアートギャラリーやカフェ、雑貨屋さんもたくさんあるけれど、
自由、という言葉よりも、雑多、の方がしっくりくる。

  
バウハウス資料館はじめ、おもしろいアートスポットもたくさんあります!
知れば知るほど、くせになりそうな、奥の深さも。
 
ただ、ヨーロッパの、あの大国ドイツの首都…とイメージしていると、
どことなく寂しさが漂う雑然とした街の姿に、すこし複雑なきもちになりました。
 
一生忘れるもんかと思ったのが、カイザー・ヴィルヘルム教会。
青いステンドガラスが印象的な、プロテスタントの教会です。
 
戦争で大きな損傷を受けたものの、いまでは修復されて、コンサートなどに使われています。
終戦後の当時の様子と、いまの建物の様子を、写真で展示していて
戦争の悲惨さをわたしたち後世に伝えてくれています。
とても美しくて、悲しいきもちでいっぱいになりました。
 
このカイザー・ヴィルヘルム教会をはじめ、ベルリンの壁や、そのほかにも、
ベルリンには、街のあちこちに戦争の跡がのこされています。
この街の子どもたちは、嫌でも、戦争や歴史について考えさせられるだろうし、そのうえで、自分たちの生き方と向き合っていくのだろうと思います。
 
同じ首都として、東京とベルリンの現状のあまりのちがいに、いまの東京をどう受け止めたらいいのか、すこしばかり、考え込んでしまいました。
 
今回3度めのドイツ旅行。ベルリンは8年ぶり。
それでもなにか、もっと奥をのぞいてみたくなるような、魅力のある街でした。次に来たときは、じぶんがまたなにを感じるのか、楽しみです。
 

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